まず声を大にして言いたいです。
このDVDはマストバイです!!
前作『覚醒の時』も素晴らしい作品でしたが、今回はそれを越えています。
2014年シーズンから平昌オリンピックまでの演技を集めているのですが、とても画期的なDVDとなりました。
『進化の時』が越えたもの
放送局の壁を越えた
フィギュアスケートは試合によって放送権を持つテレビ局が違います。
- NHK杯 → NHK
- 世界選手権、四大陸選手権、全日本選手権 → フジテレビ
- グランプリシリーズ、チャレンジャーシリーズ、国別対抗戦 → テレビ朝日
- ジャパンオープン → テレビ東京
以上のようになっています。この内、ジャパンオープンは羽生くんは出場したことがありません。そしてこれらと別にオリンピックがあります。
他局が持っている演技映像をフルで使用することは簡単なことではありません。
発売元のポニーキャニオンはフジテレビ系列ですので、フジテレビが持っているものにオリンピックを加えてDVD化するのは容易です。ただ、今回はそれでは駄目でした。ソチ後では、2016年と2017年の全日本選手権は怪我等で欠場しています。四大陸選手権も2017年しか出場していません。
またエポックメイキング的な演技は、
- 史上初の300点超え → NHK杯(NHK)
- その2週間後の330点 → グランプリファイナル(テレビ朝日)
- フリーの世界最高得点更新&SP5位からの大逆転 → 世界選手権(フジテレビ)
と、これまた各局にわたっているのです。
本来なら無理なはずのこれらの演技、全部入っています。
さらに2連覇記念パレードの映像は、仙台のローカル局全部が映像提供としてクレジットされています。すごいことです。
オリジナル音源を使っている
映像以上に高い壁が音源の壁です。
演技に使うのはまだしも、DVD化となると作曲家とか演奏家の権利が絡みます。彼らと契約しているレコード会社も関係してきます。大抵の場合、この難しい問題を回避するために、新しく録音して演技の映像にかぶせるという手法をとります。ただこれだとどうしても違和感があります。
このDVDはその面倒な権利関係を可能な限りクリアしていき、会場音のままで収録されています。
さすがに世界一厳しいとも言われるプリンスの壁は越えることが出来なかったようで、『Let’s go crazy』は収録されていません。
しかし、最初は競技に使うことにも難色を示したと言われる『Hpoe & Legacy』は入っています。これだけも制作側の頑張りが分かるというものです。
DVD構成
以下、ネタバレを含みます。
淡々と
ナレーションはなく、羽生くんのインタビューの音声とテロップで展開されていきます。
シーズン毎に公開練習の映像から始まって、演技は時系列になっています。
公開練習の時に、「ジャンプの予定変更は充分ある」(2014年)とか「この子(右足)は大事」(2017年)と言っていますが、その後に起こったことを思うと切なくなります。逆に、2015年にバラ1のコンビネーションで『3回転ルッツ』の入り方について、オーサーやバトルと話し合っていますが、その直後にある演技では3回転ルッツはリストラされてしまっているのが可笑しかったです。
チラ映り
クリケットや試合会場の映像には、他の選手が映り込んでいることがあります。それを見るのも中々楽しいです。
また、初戦でレベルが取れなかったために変更されてしまったSEIMEIの初期型のステップシーケンスもちょっとだけあります。
別角度
ところどころテレビで放送された(Youtube等の観ることが出来る)ものとは違う角度から撮影された映像があります。観ていて新鮮です。
もちろん、映像そのものはとても質の良いものになっています。
進化
収録されているシーズンでは、バラ1が3シーズン、SEIMEIは2シーズン使用していますので、必然的に収録回数も多いです。しかしジャンプ構成が違います。バラ1はエレメンツの配置も変わっています。この変化が観られるのも良いです。いっそのこと全てのパターンがあれば、とさえ思いました。
まとめ
最初に言いましたが、大事なことなのでまた言います。
このDVDはマストバイです!!
フィギュアスケートのDVDとしてはお高い方になりますが、値段だけの価値はあります。
あえて言えば、メーカー特典は小さめのロゴステッカー1枚なので値引率の高い特典なしの方がお得だと思います。